1年間を通して、仕事の喜びと苦しみ

スタッフの感想

●外来・外線・会計対応で苦戦、失敗しながら日々成長
 業務をひとつ覚えるたびに沢山の指導と手助けをしてくれた先輩に感謝

第一事務課 S・T

秀峰会に入職してからもうすぐ1年が経過しようとしています。入職3ヶ月と半年が過ぎる頃にも振り返りを行っていましたが、時間が経つのがとても早く感じています。そして、もう少ししたら自分も先輩の立場になるという事実に驁いてしまいます。
入職してから今まで、先輩や上司、他の部署の方々から業務の内容はもちろんのこと、社会人としての立ち居振る舞い、一般常識を教えていただき、研修等で様々なことを経験させていただきました。

第一事務課の業務のひとつに外来での患者様対応があり、受付・会計・入力と、大きく3つの担当に分かれています。
第一事務課に配属されて最初に教えていただいたのは、受付業務です。
受付では、外来受診にいらした患者様の保険証確認と自立支援受給者証のお預かり、新患対応、記載依頼を受けた診断書のお預かり、入退院の事務手続きなどを行います。その他にも、自立支援医療制度や障害年金の申請についてのご質問や、入院費に関わる高額療養費制度についてのご質問など、患者様やご家族様からの様々なお問い合わせに対応します。
最初は、保険証の種類や初めて聞く制度や言葉ばかりで分からないことも多く、業務一つ一つの意味を理解することができませんでした。先輩に教えていただいたことをできるようにすることで精一杯でした。
そのような中、私は他の先輩方よりも保険証の確認に時間がかかり、患者様を不安にさせてしまったことがありました。受診後の患者様から「保険証を時間かけて見ていましたが、何かダメなところがありましたか」と声をかけられてしまいました。
その時、以前に患者様の様子を見ながら、イライラしていそうな人にはいつもより早めに保険証や自立支援受給者証の確認を済ませられるように心がけている、とおっしゃっていた先輩の言葉を思い出しました。
自分のことで手一杯で、教えていただいたことをやるということばかり考えていましたが、早く正確にやることや、保険証だけでなく患者様や周りの状況を見ることが大切だと学びました。

受付業務の中で先輩に助けていただいたことが多くありました。新越谷からのバスが到着し、受付をするために患者様がたくさん並んでしまった中、外来受診はなく診断書の依頼のみで来院された方がおり、確認に時間がかかりそうだと思った私は、一度掛けてお待ちいただくようお願いしました。
受付業務で頭が一杯だった私は、受付に並んでいた患者様が落ち着いた後も確認漏れがないかなど考えて、その患者様をお待たせしてしまいました。その時は、一緒に受付に入っていた先輩が、待たせている人はいなかったかと声をかけてくださり、対応に入ることができました。
また、診断書に関しては、依頼を受けたにも関わらず、どなたからの依頼か控え忘れたこともありました。その時も、一緒に受付に入っていた先輩が覚えていてくださり、ことなきを得ました。このような失敗から、忙しく、対応を後に回す場合でも、最低限やっておかなけれぱならないことを自分なりに考えて、メモを取っておくなど工夫をしなければならないと思いました。
受付に立っていて、研修でもよく耳にした準備の大切さを感じます。患者様が自由に持ち帰れるバスの時刻表と医師の外来予定表の補充や、問診票等の受付で使用する用紙が必要な時に無くなっていると、データを探して印刷し直さなければならず、患者様をお待たせしてしまいます。
直接患者様に関係が無くても、受付に必要な備品や文房具が無くなる前に気づいて準備することが、業務を円滑に進めるために必要なことだと学びました。

受付の次に教えていただいたのは、会計業務でした。会計では、外来受診代の精算と処方箋のお受渡し、入院費や退院時の精算、診断書のお受渡しを主に行います。
昨年に引き続き、今年の第一事務課の大目標に会計時間の短縮という目標があります。外来受診の患者様が多い日は特に、「こんなに人が多い所に長時間いると気分が悪くなる」というお声が時々かかります。定期的に受診する患者様がほとんどのため、毎月もしくは毎週の受診ごとに何十分も取られるのは大きなことだと思います。 しかし、お金を扱うということもあり慎重になってしまいます。
私は会計業務をしていて、支払って頂くものと頂かなくてよいもの、返金するものとそうでないものの判断に時間がかかったり、電卓を打ち間違えたりして、時間がかかってしまいます。また、会計では処方箋もお渡しするため、お薬や処方日数に関する問い合わせも多くあります。しかし、私にはまだ分からないことも多く、それらのお問い合わせに対応することにも時間がかかってしまったり、先輩のお手を煩わせたりしてしまいます。
受付業務に加え、会計業務をしてみて、まだまだ自分のことで手一杯だと感じることが多くあります。

事務室での業務の中で大きな仕事のひとつは、外線対応だと感じています。配属されてから1ヶ月くらい経った頃、最初は先輩に隣に付いていただきながら電話対応を教わりました。最初は電話の使い方も分からず、なかなか取ることもできませんでしたが、半年が経過すると、半日で20本以上対応できるようになりました。それでも、お問い合わせの内容もお電話口の方も様々で、今でも先輩によく質問をしてしまいますし、必要な情報を聞かずに繋いでしまい、繋いだ先の方にご迷惑をかけご指摘頂くこともまだまだ多くあります。
正直なところ、電話での対応は今でも苦手で非常に緊張します。顔の見えない相手の意図していることを正しく理解し、こちらが伝えたいことを確実に伝えるということは、やはり簡単なことではありません。自分では分からないようなことを矢継ぎ早に質問され、先輩に確認が必要になることも多くあります。そのような時も、最低限、質問の意図や内容を伝えることができる程度に自分が理解していないと、確認自体取ることができません。
加えて、確認を取っている間は保留にしているため、相手はこちらがどのようなことをしているか全く分からず、お待たせしている時間を不快に感じる方もいます。お待たせしすぎて電話を切られてしまったり、何回かに分けて質間されて、その度に保留にしてしまったりと、電話1本に対しても時間がかかってしまいます。患者様やご家族様から厳しいお言葉をいただくこともありますが、自分の対応を見直す機会だと捉えるようにしています。
また、患者様やご家族様の問い合わせに合わせて電話を繋ぐことも多くあります。電話の用件を理解して、簡潔に伝え、スムーズに繋ぐ難しさを日々感じています。落ち着いた対応を意識し、他部署の方などとも連携を図っていきたいです。

この1年を通して、患者様対応の難しさや、連携の大切さ、社会人としての意識、当たり前のことに感謝する気持ちなど、様々なことを学ばせていただきました。
そして、田植え・稲刈り研修や自転車研修など日常では経験できないことに挑戦する機会をいただき、その経験を通して人として成長できたのではないかと感じています。
また、このように成長を感じられるのは、日々ご多用の中でも嫌な顔ひとつせず、丁寧にご指導してくださった先輩方のおかげだと、心から感謝しています。
業務をひとつ覚えるごとに、このようなことをしながら私の指導や手助けをしてくださっていたのかと、先輩のすごさを感じてきた1年間でした。
私も先輩方のようにできるかと考えると自信はありませんが、この1年間で学んだことや、同期や周囲の方々からの励まし、先輩の姿を心に留めて、感謝の気持ちを行動として還元していけるように頑張りたいと思います。

●食事を通じて元気を与えることができる喜び
 他職種と情報共有し、個別対応のより良い食事を提供する

栄義課 Y・K

秀峰会に入職してもうすぐで1年になります。楽山と南面の食事を提供し学んだことを通して感じた仕事の喜びと苦しみについて書かせていただきます。

楽山では療養生活の中で食事の時間を楽しみと思っていただくために、行事食の他、サテライト型式で見せる食事やケーキバイキングを行い楽しんでもらう工夫、誕生日には特別メニューを提供しています。栄養管理よりも美味しい食事を提供することが第一であり、始めはホテルのような病院の食事に戸惑い驚くこともありました。
仕込みの作業では、楽山で南面の食材も切っています。両施設の召し上がる方の特徴を考え、食材の大きさや、皮の有無、メニューによって個数付けものなど、出来上がりのイメージを掴むまでに苦労しました。人参ひとつにしても花形に形成し、かぽちゃ・さつまいもは一部だけ皮を剥いています。どうしたらより美味しく見えるか、見た目にも気を配り、召し上がる方の目線になって食事を提供しています。
 また、患者様から手紙を頂くことがあります。「毎日おいしい食事をありがとうございます」「入院中は3食栄養のある食事を頂けたことが何よりの休養のひとつでした」「元気がでました」などの感謝の言葉を頂き、普段患者様と顔を合わせる機会は少ないですが、食事を通して元気を与えることができているのかと思うと嬉しく思います。患者様に喜んでいただけるような美味しい食事やサービスを提供し、食事を通してサポートをしていきたいと思いました。

南面は、認知機能や咀嚼・噍下機能の低下で食ベ物を安全に飲み込むことが難しい熟成者が多くいます。熟成者の摂取動作を見て、かき込んで食ベる方には小さいスプーンを、ロが開きにくい方にはシリンジを使用し、箸・スプーンでは食事が難しい方には補助具を、食器が重たく持てない方にはメラミンの軽量の食器を使用して食事をしています。
食事の種類は一般食と治療食に分かれ、熟成者の状態に合わせて、常菜、一口大キザミ、細きざみ、ミキサー、ゼリーと形態をかえて提供しています。また、食事の際にむせてしまう方には誤嚥を防ぐために、おかずや汁・水分にトロミをつけて提供しています。入職して驚いたことは、嚥下困難な方でも好きなビールはトロミをつけない状態で飲めたり、いつもはミキサー食を食ベている方でもお寿司やコロッケはそのままの形の状態で食ベられるということです。普段から多く熟成者を見ているスタッフだからこそ気づくことや、希望を話せたのではないかと考えられます。周りの方から学ぶ機会が多くあり、今までの学んできた考え方に縛られず柔軟に対応していきたいと思いました。

カンファレンスでは、他職種で熟成者の情報を共有し、問題点について熟成者にとってより良い方法を話し合っています。例えば、栄養状態が悪いが甘いものが苦手な熟成者に対して、補助食品として使っていた高栄養の甘いゼリーは適しませんでした。そこでサンプルの甘くないゼリーをお試しで出してもらい、食ベられるようであれば、ご家族に購入が可能か聞いてもらうことになりました。このような方法が見つけられたのは医師・介護職員、相談員さんなどさまざまな人の協力があってこそだと思います。
カンファレンスに参加することで、それぞれの職種の視点から考えを聞くことができ 更にたくさんの情報を得やすくなりました。そのため、熟成者1人1人の気持ちに寄り添うことがしやすく、熟成者の声を食事に反映しやすいと思いました。

4階以外のフロアの食事は委託給食会社が作っています。食事内容の変更について委託給食会社の方に相談をすることもあります。低栄養を改善するために契約している中で出来る熟成者にとって一番良い方法は何かを考え、ミキサー食から高栄養のゼリ一食に変更することができました。その結果、現在では様態が安定し、変更前に比ベて栄養状態も上がったときは嬉しくやりがいも感じました。
しかし問題点も出てきました。差額代を頂いていない方は高栄養のゼリ一をつける場合、通常の食事から品数が減ることです。これでは体格や活動量などによっては必要な量が満たせません。どのようにしたら必要量を確保できるか考えていかなければと思いました。
南面で生活している熟成者にとって、食事は日々の楽しみとしての割合が大きいと思います。他職種とも協力をし、摂取状況や健康面に配慮した食事で1日でも長く熟成者の笑顔が見られればと思います。熟成者のことをもっと知り、その人が最後までその人らしくいられるために、熟成者の喜び・幸せに繁がる食事を提供したいです。

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